れんこん畑のおなすさんち。
彼の部屋の前には干からびた(!)
花壇がありました。
もう誰も長いこと見向きもしなかった
カラカラの荒れ果てた花壇。
そこに、おなすさんは赴任以来ずっと
パンジーやチューリップ、ひまわりなどを
植え続けてきました。
6年目の春。
おなす花壇に、色とりどりのチューリップが
300本咲いたそうです。
「社宅の人が見に来てくれるんだ」
「会社に持っていったら喜ばれたよ」
何かと殺風景なやもめ暮らし。
そんな中でこんなささやかな潤いや楽しみが
あると、私もほっとします。
もともとおなすさんは土に触れるのが好きだったかも。
新婚当時、アパートの裏手にとうもろこしや
ピーマン、そして自分、もとい、なすを育てては
楽しんでましたからね。
定年後は、「田舎に住んで、畑をやる!」
なんて言い出したりして。
日焼けと虫はお断りのサリー。
こればっかりは、作るより食べる!側に徹しますね。(笑)
♪ 咲いた咲いた チューリップの花が
並んだ並んだ 赤 白 黄色 ♪
おなすチューリップは、次の春も咲くのかしら?
当のおなす自身は、そんなことなど考えず、
ただ次に咲かせる花の準備だけを
思っているのでしょうね。
不自由で寂しい暮らしの中にも、
小さな喜びを見つけること。
お金よりも手間と愛情をかけて
自分なりの楽しみを育てること。
そして、先のことに囚われず、
今、自分がすべきこと、できることに
専心すること。
おなすチューリップはいろんなことを
教えてくれます。
昨日は母の誕生日。
無事に迎えられると、本当にほっとします。
というのも、母の大切な人は
この4月に旅立っていることが多いのです。
まずいちばんに伴侶。
そう私の父ですね。
父が亡くなったのが4月4日。
母の二番目の姉が16日。そう今日は私の伯母の
命日です。
そして、母の兄と、母が可愛がっていた姪
(私の従姉妹)がともに29日。
更に30日には、母のいちばん上の姉が
亡くなっています。特にこの伯母は、
父と同じ年、つまり父の四十九日も
すまないうちに亡くなりましたから
本当に辛かったですね。
夫も兄姉も、そして可愛がっていた姪も
みんな4月に亡くしてしまった母。
そんなわけで、母はいつの頃からか、
「私も4月に死ぬんだろうか」
と、漠然と思うようになりました。
母が生まれた月に、母の大切な人たちが
死んでいくというのは、何と皮肉な巡り合わせでしょう。
美しくはかなく、そして妖しい桜の季節が
その不条理を余計に際立たせているように思えます。
でも。
今年もこうして、母は元気に生きています。
ただそのことに感謝。
このまま元気に、くたばることなど忘れて(笑)
年を重ねていってほしいと思います。
本当に、病は気から、よ。
お母さん♪
先祖代々の平均寿命を更新し、
めでたく76歳になりました。
うれしく、ありがたいことです。
この素晴らしき春の日。
こなすとともにお祝いしました。
和菓子党の母ですが、ハレの日に
ふさわしいのは、やっぱりケーキ。
華やかですものね。
いつもは14センチが定番の我が家ですが、
めでたいこの日は、久しぶりに18センチで
スポンジを焼きました。
これは母といっしょに初めて苺の
ショートケーキを作った時に
買った型。もう35年ぐらい前のもの
です。うれしい思い出をたくさん
知っているケーキ型と言えますね。
お吸い物の具に見つけたのが
この花びら麩。桜麩は以前から
ありましたけど、これは新発見!
見て見て! 可愛いでしょう?
桜のカタチに抜いたはんぺんに
このお麩を散らして、木の芽の
香りを添えましょう。
ハレの日のごちそうは、やっぱり
おすし。今日は海鮮ちらしです。
すし飯にはかんぴょうの煮物と
白ゴマを混ぜて。箸休めの
酢れんこんは、小皿に乗せて
添えました。
今年のバースデーケーキ。
スポンジには手作り杏ジャムを
たっぷり挟み、生クリームは母も
大好きなコアントローで香りを。
こなすと二人で ♪HAPPY BIRTHDAY♪
を歌い、母は一生懸命(笑)ろうそくを
吹き消しました。
「トシとると、火を消すのも大変ねえ」
ですと。
でも大変さの分だけ、ありがたいと思います。
母へのささやかなプレゼント。
カードは小さい時のこなすを
彷彿とさせるものと、賞状
仕立てのものを。ボケも
せず、寝たきりにもならず、
本当に頑張ってくれてます♪
プレゼントはCDですが、何とこなすも
母へのプレゼントにCDを用意してました。
もちろん中味はかぶりませんが、考えることも
似てきたのかな~。
母はもちろん大喜び。
おすしをおいしいおいしいときれいに平らげ、
ケーキもちゃんと食べてくれました。
帰る時には、来た時よりもハツラツとして
ちょっと若返ったように思えましたね。
お母さん。
お誕生日おめでとうございます。
来年もそのまた来年も、この言葉が
言えますように。
そして、私の作るごはんをおいしく
食べてもらえますように。























去年の今頃は、兄の家族とともに
十三回忌の法要を営みましたが、
もう1年たってしまったとは……。
父が旅立った日は、悲しいぐらいの
お天気でしたが、今日は肌寒い
雨の一日です。
桜、散ってしまうかな。
お花見には行けないけれど、今日は
父にドカ弁を作りました。
ホントは、お料理屋さんのように
ゆったり詰めるタイプのおべんと
箱ですが、父は何しろ健啖家。
私の趣味もあって、とにかく
たっぷり詰め込みました♪
好物だった青豆ごはんは一合分入ってます。
年中梅ちゃん派の私も、今日ばかりは
人参も桜型で。
青豆ごはんは、豆をいっしょに炊き込んだ方が
断然おいしいのですが、今日は色味を
きれいに出したかったので、蒸らしの段階で
混ぜ込みました。
青豆は、塩と重曹で茹で、鍋の中に
水を注ぎながら徐々に冷やすのがコツ。
さやは使う直前にむくのも大切な
ポイントですね。
塩と酒と昆布のあっさりご飯なので、
おかずはどれもしっかり味をつけてあります。
デザートは帰省の折に買って
きたくず餅。去年見つけた
桜のおべんと箱に詰めて。
お下がりを食べる母には多すぎる量ですが、
父にはこれぐらいないとね。
夜は大好きだった鶏の唐揚げを届けましょう。
もちろん、ビールつきで♪
























昨日、初めてパーマをかけました。
もちろん本人の希望です。
こなすの学校は、化粧やヘアカラー、ピアスは
禁止ですが、パーマはオッケーなのですね。
ネットで見つけたお気に入りのスタイルを
持参して、初パーマ。
ゆるやかなウエーブの、長めのおかっぱなので、
「パーマをかけた!」という印象はまるでナシ。
かなりのイメチェンを期待していた私は
ちょっと拍子抜けでしたね。
パーマといえば、私はなんと幼稚園の頃から
ずっとかけていました。
もともとは直毛なのですが、
「明るい栗色の髪で直毛はおかしい」
という母の持論の下、私は3歳にして
資生堂ゾートスサロン(古っ!!!)の
会員だったのでした。(笑)
でも楽しかったですね。
三ヶ月に一度、母といっしょに美容室に行って
隣同士のイスに座ってパーマをかける……。
中学、高校時代は、校則でパーマは禁止でしたが、
地毛が明るかったせいか、先生たちは
ずっと天然パーマだと思っていたよう。
ごめんなさ~い。
親子して堂々と違反してました~。
いつしか、通う美容室も母と私とでそれぞれ
変わりましたが、スープの冷めない距離に
住むようになってから、また同じ美容室に
通っています。
タイミングはなかなか合わないのですが、
いつか母と同じ時間に予約しようかな。
子どもの時のように、隣同士のイスに座って。
それは、こなすとも夢ではありません。
母と娘って楽しいですね♪























おなすママのお墓参りに
出かけました。
この前来た時は炎天下。
でもこの日は真冬に戻ったかの
ような寒さでした。
それでも、ここにも桜が
咲いていました。
おなすママ、見えるでしょ?
おなすママが旅立って10年。
おなすパパは仏壇にお花とおなすママの好物を
絶やさず、一日三食小さなお供えを続けています。
朝ごはんはミニミニトーストに小さなサラダ。
紅茶はハロッズのダージリン。
昼はこれまたミニミニパスタや小さなおうどん。
まるでままごとの世界です。
ままごとといえば、サリーの領分。(笑)
私がいる時は、もちろん私が嬉々として
そのお役目をつとめます。
おなすママは冷えたごはんが
嫌いだったので、この日は
いなり寿司に。お昼のけんちん
うどんからお汁を取り分けて。
どれも手の平サイズなのよん♪
よその台所は得てして使いにくいものですが、
それはそれでまた逆に楽しくもあります。
おなすキッチンといい、おなすパパの台所といい、
不自由な条件のもとでありあわせの材料を使って
工夫するのは、恰好の脳トレにもなりますしね。
おなすママのごはんを用意するのは
私にとって義務ではなく、お楽しみなのです。






















帰りました。
いつものように新幹線の中で
おなすさんと合流。
彼は始発ですから大変ですね。
まずは父のお墓参りに。
お父さん、三人そろって
来ましたよ。こなすが私の背を
超えて、びっくりでしょ?
父がこよなく愛したしだれ桜。
二人で一緒に最後に見た時は
「もうすぐだね。待ち遠しいね」
なんて言っていたのに。
その二週間後、父はあっけなく旅立ってしまいました。
満開のしだれ桜の下、父を見送ることになるなんて……。
その時から、私は春も桜も大嫌いになってしまったのです。
でもあれから13年。
また少しずつ、桜はきれいだな、と思えるようになりました。
何より、父が大好きだった桜がいつも父のそばに
あるというのはありがたいことです。
もうかなり老齢の桜ですが、これからもずっと
見事に咲いてくれますように。
今度はお母さんもいっしょに来るわね。
待っててね。
お父さん♪





















お盆はもちろん、お彼岸の間は
母と協力して、父の好物を
せっせせっせとお供えしています。
今朝は私がサンドイッチを届け
ました。お約束の甘いサンドを
入れなかったので、クッキーを
添えて。お皿はもちろん
楕円形♪ なぜだか、わかります
ね?(笑)
ヒマなので、おやつも作りました。
黒糖と重曹入りの生地で、
先日のぼたもちの残りのあんを
包みます。
あとは強火で一気に蒸しあげ
ます。なつかしい茶饅頭の
出来上がり。
それにしても。
私が作ると、なぜなにもかも
巨大化してしまうのであろう……。
こしあんはお饅頭で使いきり!
30グラムだけ残った粒あんは
こんなカタチにして、小麦粉の
水溶きと合わせます。
ナニを作るか、わかりますよね。
デカ饅頭ときんつばの盛り合わせ。
おとーさん、残り物リメイクで
ごめんね~。でもこんな駄菓子も
たまにはいいかな?

























学年末試験まで、こなすの勉強机は
ずっとリビングの食卓でした。
そう、この11年間、自室の机は
物置状態。
リビングの一角には常に教科書やノートが
積まれ、ごはんの直前まで食卓が
使えない有様で、すっきりとした部屋が
大好きな私にとって、これは結構
ストレスでした。
でもっ!!!
「これからは自分の部屋で勉強します」
と、突然の退却宣言。
確かに自分の部屋にこもる方が集中力は
持続できるのでしょうね。
その言葉通り、一昨日の夜から、こなすは
ずっと自室で勉強するようになりました。
部屋がすっきりしたこと!
そして夜のなんと静かなこと!
教科書類の山や片付かない食卓にイライラして
いたというのに、夜になってもひとりリビングで
過ごす寂しさときたら……。
人間は本当に勝手ですね。(笑)
部屋が散らかるとか、洗濯物が多いとか、
おべんと作りがメンドーとか、
そう思えるうちが本当に幸せなのだと
つくづく思います。
この春に訪れた、ちょっぴり切ない変化。
これもまた子離れのトレーニングのひとつと
受け入れましょう。
おなすさんは、先日会社の人の送別会があったとか。
50を過ぎて初めての転勤、それも単身赴任とあって
元気のないその方に、
「人生、死ぬまで勉強です、と教えてあげるつもりです。」
というメールが来ました。
おなすさんも、れんこん畑で6年間、ずっと
人生のオベンキョをしていますね。
自分ひとりの静かで長い夜。
さあ、私は何をしましょうか。
れんこん畑、こなすの部屋、そしてリビング。
それぞれの場所で、それぞれの人生のために
今日も何かを学んでいくのですね。



















昨日は桃の節句。
父がこなすに贈ってくれた
お雛さま。相変わらず、美しい
お二人です♪
これは雪洞の足部分。
毎年、お雛さまを飾るたびに、
こんなカタチのゼリー型が欲しい
なあと思ってます。私の理想型!
それにしても、食い気がかなり
勝ってますね(笑)。
ひな祭り。
もう何年もおなすさんは不在ですが、
母が元気でいっしょに祝ってくれることは
本当に幸せです。
夕べも、現役娘を中心に、元娘も二人
加わって、ささやかな夕食を楽しみました。
ひな祭りのごちそうといえば、なんといっても
ちらし寿司ですね。
母がそうしていたように、具は
すべて別々に調理します。
どんなに忙しくても、この手間だけ
はゼッタイに省きません。
美しい錦糸玉子のために、
ここでも一手間。全卵に卵黄を
余分に加え、一度漉します。
更に破けないよう、片栗粉の
水溶きも少々入れましょう。
あとは黙々と焼いていきます。
こんなふうに焼き上がりを網か
ざるに乗せていくと、蒸気が
逃げていいですよ。
菜の花もさやえんどう同様、
調味した出し汁を含ませて、
具の用意は終わり。ああ、でも
木の芽、買い忘れちゃった!
今日は雪だし。くやしいけれど
なしですませますわ……。
昔、実家にいた頃は母は一升の
酢飯を作っていたものですが、
今日は四合のご飯で。
アツアツご飯に染み渡るお酢の
香り。大好きです♪
もう20年も使っている朱塗りの
器に豪快に盛って。さあさあ、
たっぷりよそって食べてね。
あとはお決まりの菜の花の
辛し和えを大好きな器で。
これも結婚の際に揃えたもの。
器や道具の命は本当に
長く、豊かだと思います。
蛤の潮汁も。こなすがよき伴侶
(できればイケメンっ!)に
出会えることを願って。(笑)
デザートは、桜餅は一昨日食べちゃったので、
昨日は抹茶のシフォンケーキに。
シフォンケーキは、こなすが小学生の頃、
朝食の定番でした。
今のカップケーキのように、プレーンやチョコレート、
バナナオレンジにコーヒーなどなど、当時は
いろんな種類を焼いていたものです。
今回、選んだのは新しいレシピ。
なんと抹茶が小麦粉の25パーセントも
入るのです。
そんなに入れて苦くないかしら、と思いましたが、
卵も水も通常より多いので緩和されるのかな?
見た目はおとなしいグリーン
ですね。久しぶりのシフォン。
ワクワクします。
ふわっふわに焼けました。
本当は丸ごとデコレーションしたい
ところですが、食べきれないので
断念。残りは冷凍庫行きだもの。
抹茶クリームを添えて、削った
抹茶チョコレートをトッピング。
生クリームを泡立てすぎて
失敗! シフォンに添えるクリーム
は、柔らかいのがベストなのに。
でもシフォンそのものは、まるで蒸しケーキのように
しっとりふわふわ。
次はプレーンもこの配合で焼こうと思います。
めでたく、サリーの定番入りですね。
山盛りのおすしは、母がラップに小分けして
持って帰りました。
来年も、このおみやげをたくさん
手渡せますように。
静かで平和な春の宵でした。



















料理と雑貨屋巡りが大好き。