小さなキッチンから主婦サリーのささやかな暮らしを届けます。
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リフォームのためにこれまでの住まいと

お別れした私。

実はこの春、もうひとつのさよならが

ありました。








それは母の部屋。

施設入居を機に処分することを決め、

昨年秋から動いていましたが

いよいよ今週、引き渡しの日を

迎えることになりました。








父が亡くなって、私を頼って

東京から関西へやってきた母。

同じマンションで二部屋抽選に当たる幸運のもと

スープの冷めない距離の暮らしが

始まりました。もう24年も前のことです。








引っ越し当日、小さなこなすは大はしゃぎ。

大好きなばあばの部屋と自分の部屋を

行ったり来たり、あまりにはしゃぎすぎて

熱を出したくらいです。

それでも一人っ子のこなすにとって

母の存在はとても助けになりました。

何より絶対的な味方。そして最高の遊び友だち

でしたからね。









おなすさんの長い単身赴任の間も

そしてこなすが早々と巣立ったあとも

階下に母がいてくれるというのは

とても心強いことでした。








毎日、母の部屋を訪れ、おしゃべりしたり

焼きたてのパンやお菓子、おべんとうに

サンドイッチ、いろんなごはんを

せっせと運んだのもなつかしい思い出です。







それがいつの間にか、訪ねる足が重くなり、

もう行きたくない、でも行かなくちゃと

大きなストレスを感じるようになってしまうとは……。








母にしてもそんな娘に来てもらっても

うれしくもなんともなかったでしょう。

いちばん優しくしてあげなければいけない時に

きつい物言いをしてしまったことは

今でも思い出すたび自己嫌悪です。


 最後に母の部屋にお別れを

 言ってきました。いつもこのドアを

 開けると、ソファに座って

 本を読んでいた母の

 「はあい」という声が聞こえる

 ようです。





 家具がすべて撤収された部屋。
 
 父の仏壇も兄の家に引っ越して

 いきました。父も環境が
 
 変わってびっくりしているかも

 しれません。
 
 
 
 
 
 
 
 母のお気に入りの火鉢が

 あったところです。

 24年も過ぎてしまえば

 あっという間でした。

 

 




ほかにも大きな飾り棚に粋な車箪笥、

先祖代々受け継いできた桐箪笥、

そして料亭で使うような仰々しい器など

母の部屋には捨てがたいものばかりが

詰まっていました。







気持ちと時間の余裕さえあれば

何か活かす方法も選べたのでしょうが

その時の私にはどちらも

ありませんでした。

とにかく処分!処分!処分!

もったいないおばけに責め立てられながら

ひたすら撤収に努めました。







 

 キッチンは私と同じものを

 選んだので、全く一緒。

 ここでも料理をしましたね。

 お世話になりました。

 ありがとうございました。
 
 
 
 
 
 
 

 転倒を繰り返すようになって

 取り付けた手すり。













 手すりなのに、母はよく

 脱いだ上着やパンツを

 かけていましたね。私は

 バレエのバーレッスンの

 まねごとをしたりして。







 あちこちに付けてもらった

 手すりですが、結局一年も

 使いませんでした。まあ

 私の頑張りが足りなかった

 からですが。







 ここは寝室。毎朝、遮光カーテンで

 真っ暗な部屋に入るのはドキドキ

 でした。ちゃんと息してる?

 大丈夫?などと不安はつきもの

 でしたから。
 
 
 
 
 
 
 

 セミダブルのベッドの跡が

 残っていますね。施設入居の

 前夜、母はきっと明日もここで

 眠るものと信じて疑わなかった

 と思います。






今は小さな介護用ベッド。

「うちの大きなベッドで寝たいの」

と最初の頃は何度も訴えられたものです。

ごめんね、お母さん。








新しく入居される方はとても感じがよく、

「お母さまのお部屋、大切に使わせて

 いただきますとくれぐれもよろしく

 お伝えください」

と言われました。








さびしいけれど、これで私もまた

踏ん切りがつくような気がします。

この世は本当に無常。

変わらないものは存在しない以上、

その時々に起こることを受け入れて

いくしかありません。



 また今年も桜咲いて。

 父の死から春も桜も

 大嫌いになった私ですが

 それももうおしまいに

 しましょう。







 来年の春は、おなすさんと

 母を花見に連れ出したい。

 そんな世の中になっていることを

 ただただ願います。

 





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